永観堂 禅林寺 其の4

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阿弥陀堂へ向かう回廊の途中に水琴窟(すいきんくつ)があります。水琴窟とは日本庭園に用いられる装飾のひとつで、手水鉢から滴る水の音が琴の音色のようなことからそう呼ばれています。音はかなり小さめなので、ガヤガヤした状況だと聞きとりにくいかも知れません。

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原理をザックリ説明すると、近くに埋めた瓶に水音を響かせる仕組みになっています。洞窟などで滴る水滴の音が反響するのと原理的には同じで、その音色が綺麗に出るようチューニングされたものが水琴窟です。水の琴…なんとも風流なネーミングですよね。

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20140405_104a15.jpgこの辺りの蛙は木魚蛙といって鳴き声が木魚のようだと言われ、これも永観堂七不思議の一つになっています。残念ながら時期が悪く聞く事ができませんでしたが、アジアン雑貨で見かける蛙の形をした木魚の背中をギコギコした時のような音なんでしょうか…?
そう言えば木魚ってなぜ魚なのか知ってますか? 仏教と魚、今ひとつ接点がわかりませんよね。そもそも木魚はお経のリズムをとる為の物とされていますが、眠気覚ましの意味合いもあると言われています。俗世から離れたといってもお坊さんだって人の子です、眠いときだってあるんです。

昔の人は魚は目を閉じることが無いことから眠らないと考えていたようで、だから眠くならないよう眠らない魚を模したと言われています。(他説もあります)
そしてそんな木魚を日本に伝えたのが、明国の禅僧であり日本三大宗教の一つ黄檗宗の開祖 隠元禅師。「ふーん」ってリアクションの薄い方も多いと思いますが、隠元禅師がその時一緒に日本に持ち込んだ豆がインゲン豆だって言えば「おおおっ」て思うでしょ。

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そんだ偉大な隠元さんによって持ち込まれた木魚ですが、当初は否定的な宗派も多かったようです。読経の妨げになるってことで、永観堂の宗派である浄土宗では使用が禁止されていた時期もあります。お経の文節に関係なく木魚を叩くと、お経の意味が薄れると考えられていたんですね。
今では浄土宗でも木魚は使われていますが、他の宗派が読経と同時に叩く頭打ちなのに対して、間打ちと言う打ち方が用いられます。いわゆる裏打ちというやつで、音楽で言うとジャズのような感じです。この打ち方が言われ続けた木魚がお経の邪魔する、と言うことに対する浄土宗の答えだったようです。
もし浄土宗のお経を聞く機会があれば意識して聞いてみて下さい。他とは違い、かなりジャージーなお経のはずですよ。

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先ほどの水琴窟の左に行くとこの回廊。山肌を這うようなその様が、まるで龍のように見えることから臥龍廊(がりゅうろう)と呼ばれています。クギを使わず組木だけでこれを作った当時の宮大工の技…まさに匠の技ですよね。

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かなり急な斜面ですが、秋にはこの山肌も紅葉で紅く染まります。こんな急な斜面に紅葉が自生するのは大変珍しいそうで、ここの紅葉は岩垣紅葉なんて呼ばれこれも七不思議の一つ。
この岩垣紅葉という名称は、元々ここの持ち主であった藤原関雄がこの地で隠居中「奥山の岩垣紅葉散りぬべし 照る日の光みるときなくて」と詠んだのが最初だと言われています。歌の意味は、奥山の岩垣紅葉は美しく色づきながら、光をあびることもなく散ってしまうだろう。そのように我が身も、世間の栄光に浴することなく、ひっそりと世を去ることだろう…ってことらしいです。藤原関雄って人はかなりネガティブな人だったようですね^^;

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そして右は阿弥陀堂へ続くこの階段。エレベーターはこの階段の上につながってます。写真では伝わりにくいですが、この階段結構な傾斜があっていい運動になりました^^;

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回廊の三叉路を引いて撮った写真がこちら。手前の石垣の上にある松が三鈷の松、中央が水琴窟ある建物で左に少し見えているのが臥龍廊。これを見るとなんとなく位置関係が判って頂けるかと思います。。

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先ほどの階段を上り阿弥陀堂に通じる廊下の途中には、永観堂の歴代の高僧の位牌を祀る位牌堂があります。

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立派なお位牌が小さな部屋一杯にビッシリと並べられ、なんとも厳かな雰囲気が漂っていました。確認はできませんでしたが、永観さんのお位牌もここに安置されているんでしょうね…。

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臥龍廊を上がるとこちらの開山堂に通じる渡り廊下に出ます。開山とは寺院を開創した僧のことを意味し、その像が祀られているのが開山堂です。企業が創始者の銅像を作って飾るのに近い感覚ですね。

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そしてこちらが開山堂。開山の真紹、2世住職の宗叡が祀れ、信徒のかたからはお祖師さまと呼ばれ親しまれています。またここは永観堂の中でも高い場所に位置しているので、紅葉で真紅に染まった山を一望すことができます。
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