ひな祭

imgN250.jpg灯りをつけましょぼんぼりにぃ~お花をあげましょ桃の花ぁ~♪ もうすぐ「ひな祭」ですよね。オッサンには縁のないお祭りですが、子供の頃は女の子が羨ましくてしょうがなっかた記憶があります。「桃の節句」名前からしておいしそうじゃないですかw
でも本来は「桃の節句」とは言わず、「上巳(じょうし)の節句」という日本の五節句の一つだったようです。「上巳の節句」とは古代中国の「上巳節」に由来するそうで、旧暦の3月上旬の巳の日を意味します。中国では上巳のころは季節の変わり目で、災いをもたらす邪気が入りやすいと考えられ、水辺でけがれを祓う風習がありました。
それが日本にも伝わり、今の「ひな祭り」の起源となったようです。
昔の人はガンジス川で沐浴するインドの方のように、この季節は川などで身を清め不浄を祓い、それを「上巳の祓い」なんて呼んでいました。
それがやがて紙などで作った人形(ひとがた)で自分の体をなでてけがれを移し、川や海へ流すようになっていきます。これが「流し雛」の原型ですね。京都の下賀茂神社などでは、今でも「流し雛」の神事が行われています。

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現在のように自宅に「ひな人形」を飾るようになったのは江戸時代からだそうですが、その元となったのは平安時代の京都の子供の遊びだと言われています。
平安時代、宮中や貴族の子女の間では、紙の人形で遊ぶままごとが流行っていました。リカちゃんや、バービー人形で遊ぶ今の子供たちと一緒ですよね。当時これを小さくて可愛いという意味のがある「雛」の字を用いて「ひいな遊び」と呼んでいたそうです。
この遊びが「上巳の祓い」と結びつき、男女一対の「ひな人形」に子供の幸せを託し、厄を引き受けてもらい子供の成長を願うものになったようです。
5月5日の男の子の節句に対して、3月3日を女の子の節句とし、邪気を祓うとされる桃の開花時期が重なることから「桃の節句」と呼ばれるようになります。
もともとは流し雛が主流でしたが、江戸時代にかけて人形の制作技術が向上し高級化するにつれて、流すものから飾るものにシフトしていったようです。

京都の雛人形は左がお内裏さま

現在のひな人形の男女の並び方は男性が女性に対して右側、女性が左側です。結婚式なんかもそうですよね。しかし大正時代までは逆でした。
古来日本では「左上位」といい、左側(向かって右)が上座として序列が決まっていました。ひな人形はご存じの通り天皇・皇后両陛下を表したもので、天皇が上座の太陽の昇る東側(左側)というのが決まりだったんです。

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明治以降、急速な西洋化が進み、天皇が国際的な席にご出席される機会も増えました。大正天皇までは公式の席で日本のみ反対に位置されていましたが、昭和天皇の即位から正式に西洋式の並び方に変わりました。西洋は右上位の文化ですので、公式な場では男性は全て女性の右側。英語で「正しい」ことを「right」って言いますが、これも右上位だからなんですね。
そんな国際的な流れに合わせ、ひな人形も右に男雛という現在の形式になっていきました。しかし京都では日本の伝統を重んじ、今でも左にお内裏様を飾るのが通説となっています。

rh-237-6.jpgこの左上位という考え方は、今の日本にも意外に残っているんですよ。「あの人の右に出る者はいない」って言いますが、これは対面している人から見て右(その人の左側)に立つ人はいないって意味です。「俺の右腕」も一瞬右上位って思いますが、自分から見て右側の部下のこと意味しています。
また戦後GHQの指導があるまでは、人も車も左側通行が常識でした。これは相手とすれ違う時、お互いに相手が自分の右側を通る事で自分の方が上座になるからなんですね。自動車の普及にともない、人が後ろから来る自動車に引かれる交通事故が急増した為、歩行者のみ右側通行に変えられたようですが。
スポーツの世界においても大相撲の正横綱は東(左)ですし、皇太子のことを東宮と呼ぶのも左上位だからなんですね。
現在は日本語を横書きするとき、西洋式に向かって左から書きますが昔は右から書いていましたよね、これも左上位です。こうして見ると意識せずに、左上位の考えを使っていたことが判ると思います。

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3月3日の「ひな祭り」京都では様々な神事が行われます。人が扮するリアルお雛様(上の写真)で有名な「市比売神社のひいなまつり」ここでは十二単の着付け方法の紹介などもあり、他とは違ったひな祭りが楽しめます。下鴨神社では古式ゆかしい「流し雛」が行われ、公募で選ばれた結婚を控えた男女が、十二単と衣冠装束姿に身を包み桟俵に乗せた和紙人形を境内の御手洗川に流し厄を祓います。
そして人形の寺として有名な宝鏡寺では、毎年春の人形展のオープニングイベントとして本堂にて華やかに、ひな祭りが行なわれ、島原太夫の舞などがおひなさまに奉げられます。
他にも色々ありますがそんな京都のひな祭りで欠かせないのが「引千切」です。餅を丸く伸ばしてくぼみを作り、その端の一カ所を引きちぎったような取っ手の形にし、くぼみに餡を乗せた京都の伝統的な和菓子で「ひちぎり」とか「ひちきり」と呼ばれています。

hichigir.jpgこれは宮中で人手が足りない時に、餅を丸める手間を惜しんで引きちぎったのが始まりと言われています。ひな祭りには菱餅が定番ですが、京都ではこの「引千切」を食べます。
京都にお越しの際はこの「引千切」と一緒に、はんなり雅な京のひな祭りをお楽しみあれ。